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親の介護施設入所と実家じまい|タイミングと進め方

公開:2026年5月27日14分で読める

親が介護施設に入所したタイミングで多くの家庭が直面するのが「実家をどうするか」という問題です。入所直前・入所後1〜3か月・長期入所が見えた段階の3つのタイミングで、最低限の整理→管理→本格片付けへと段階的に進める方法、家族合意の取り方、空き家管理と売却の判断軸、買取活用まで解説します。

親の介護施設入所は、実家じまいを考え始める大きなタイミング

親が介護施設に入所することになったとき、多くの家庭で同時に考える必要が出てくるのが「実家をどうするか」という問題です。

これまで親が住んでいた家は、施設入所後すぐに空き家になることもあります。短期入所や一時的な入所であれば様子を見る選択もありますが、長期入所が見込まれる場合は、実家の管理、荷物の整理、不用品の処分、売却や賃貸の検討などを早めに進める必要があります。

ただし、介護施設への入所直後は、親本人も家族も精神的に落ち着かない時期です。入所手続き、費用の確認、生活環境への適応、医療・介護関係者とのやり取りなどが重なり、実家じまいまで一気に進めようとすると負担が大きくなります。

大切なのは、入所と同時にすべてを片付けることではありません。親の気持ち、家族の事情、家の状態、今後の見通しを整理しながら、段階的に実家じまいを進めることです。

介護施設入所後すぐに実家を片付けるべきとは限らない

親が施設に入所したからといって、すぐに実家を空にしなければならないわけではありません。特に入所直後は、親本人が「いつか家に戻りたい」と考えている場合もあります。

家族側としては、空き家の管理費や固定資産税、防犯面の不安から、早く片付けたいと感じることもあるでしょう。しかし、親にとって実家は単なる建物ではなく、長年暮らしてきた生活の場所です。急に荷物を処分されたり、家を売る話が進んだりすると、不安や寂しさを感じることがあります。

そのため、まずは施設入所が一時的なものなのか、長期的なものなのかを見極めることが重要です。入所から数週間から数か月は、親の体調や施設での生活への適応状況を確認しながら、実家をどうするか考える準備期間と捉えるとよいでしょう。

一方で、完全に放置するのも避けるべきです。空き家は換気不足、雨漏り、害虫、庭木の繁茂、防犯リスクなどが発生しやすくなります。すぐに処分を進めない場合でも、最低限の管理体制は早めに決めておく必要があります。

実家じまいを始める前に確認すべきこと

介護施設入所をきっかけに実家じまいを進める場合、最初に確認したいのは家族間の認識です。

親本人が判断できる状態であれば、まず親の意向を確認します。家を残したいのか、将来的に売却してもよいのか、大切にしている物は何か、処分してほしくない物はあるかなどを、できる範囲で聞いておきましょう。

次に、兄弟姉妹や親族との話し合いも必要です。誰が実家の管理をするのか、片付け費用をどう負担するのか、売却する場合の方針はどうするのかを曖昧にしたまま進めると、後でトラブルになりやすくなります。

また、家の名義や権利関係も確認しておきましょう。親名義なのか、すでに相続が発生して共有名義になっているのかによって、売却や処分の進め方が変わります。認知症などで親本人の判断能力に不安がある場合は、財産処分に関して慎重な対応が必要です。

実家じまいは、単なる片付け作業ではありません。家族の合意、親の意思、法律面、費用面が関係するため、最初の確認を丁寧に行うことが大切です。

タイミング1:施設入所前に最低限の整理をする

可能であれば、介護施設への入所前に最低限の荷物整理をしておくと、その後の実家じまいが進めやすくなります。

入所時には、衣類、洗面用品、薬、保険証、介護保険証、診察券、通帳、印鑑、眼鏡、補聴器、思い出の写真など、施設生活に必要な物を持ち出す必要があります。実家の中から必要な物を探す作業は意外と時間がかかるため、早めにまとめておくと安心です。

この段階では、家全体を片付ける必要はありません。まずは「施設で使う物」「重要書類」「貴重品」「親が大切にしている物」を優先して整理します。

特に通帳、印鑑、年金関係の書類、保険証券、不動産関係書類、介護保険関係書類などは、後から必要になることが多いものです。不用品と一緒に処分しないよう、専用の箱やファイルにまとめて保管しましょう。

施設入所前は慌ただしい時期ですが、この最低限の整理をしておくだけで、後の片付けや手続きがかなり楽になります。

タイミング2:入所後1〜3か月は生活の安定を優先する

親が施設に入所した直後は、まず新しい生活に慣れることが最優先です。家族も施設との連絡、面会、費用確認、必要品の追加などで忙しくなります。

この時期に無理に実家じまいを進めると、親本人の気持ちが追いつかないことがあります。また、施設での生活が合わず、転居や在宅復帰の可能性が出るケースもゼロではありません。

そのため、入所後1〜3か月程度は、実家の本格的な処分よりも、管理と状況確認を中心に進めるのがおすすめです。

具体的には、定期的な換気、郵便物の確認、冷蔵庫内の処分、水道・電気・ガスの確認、貴重品の回収、防犯対策、近隣への連絡などを行います。庭や外回りがある場合は、草木の管理も必要です。

この期間に家族で今後の方針を話し合い、「しばらく維持するのか」「段階的に片付けるのか」「売却や賃貸を検討するのか」を整理していきましょう。

タイミング3:長期入所が見えてきたら本格的な片付けを始める

親の施設生活が安定し、長期入所の見通しが立ってきたら、実家じまいを本格的に進めるタイミングです。

この段階では、家の中の荷物を大きく分類します。残す物、親に確認する物、家族で分ける物、売れる物、処分する物に分けていくと作業しやすくなります。

家具、家電、着物、骨董品、ブランド品、貴金属、工具、趣味用品などは、状態によっては買取対象になることがあります。すべてを不用品として処分する前に、買取できる物がないか確認しておくと、片付け費用の負担を減らせる場合があります。

一方で、古い布団、壊れた家具、使用済みの日用品、大量の紙類などは処分が必要になることが多いです。自治体の粗大ごみ、リサイクル業者、不用品回収業者、遺品整理業者などを使い分けるとよいでしょう。

親がまだ判断できる場合は、写真を見せながら確認する方法もあります。すべての物を施設に持ち込むことはできませんが、大切な写真、手紙、小物などは厳選して残すと、親の安心にもつながります。

実家を残す場合に必要な管理

すぐに売却や処分をしない場合でも、空き家として実家を管理する必要があります。

空き家管理で重要なのは、換気、通水、雨漏り確認、郵便物の整理、庭木の管理、防犯対策です。家は人が住まなくなると急速に傷みやすくなります。湿気がこもるとカビが発生し、排水口の水が蒸発すると臭いや害虫の原因になることもあります。

遠方に住んでいる場合は、家族だけで管理を続けるのが難しい場合もあります。その場合は、近隣の親族、空き家管理サービス、不動産会社などに定期確認を依頼する方法もあります。

また、火災保険や地震保険の内容も確認しておきましょう。空き家状態になることで保険条件が変わる場合があります。水道光熱費、固定資産税、管理費用も継続して発生するため、年間でどれくらい負担があるかを把握しておくことが大切です。

実家を残すことは安心感につながる一方で、管理責任と費用が続くという現実もあります。

実家を売却する場合の進め方

親の長期入所が決まり、家に戻る可能性が低い場合は、実家の売却を検討する家庭もあります。

売却を進める前に、まず家の名義を確認します。親本人の名義で、親に判断能力がある場合は、親の意思に基づいて売却手続きを進めることができます。一方で、認知症などで判断能力が不十分な場合、家族が勝手に売却することはできません。状況によっては成年後見制度などの検討が必要になる場合があります。

売却前には、不動産会社に査定を依頼し、家の価値を把握します。築年数が古い実家の場合、建物付きで売るのか、更地にするのか、リフォームして売るのかなど複数の選択肢があります。

また、家の中に荷物が残っていると売却活動が進めにくいことがあります。内覧対応を考えると、最低限の片付けや清掃は必要です。ただし、解体や大規模リフォームを先に行うべきかは物件によって異なるため、不動産会社に相談してから判断するとよいでしょう。

売却は家族の合意が重要です。兄弟姉妹がいる場合は、売却理由、価格の目安、費用負担、売却後のお金の扱いについて事前に共有しておきましょう。

実家じまいで親の気持ちに配慮する方法

介護施設入所後の実家じまいで最も難しいのは、親の気持ちへの配慮です。

家族から見ると、古い家具や使わない日用品は処分対象に見えるかもしれません。しかし、親にとっては長年の生活の記憶が詰まった物です。何でも一気に捨てるのではなく、できるだけ本人の意向を確認しながら進めることが大切です。

親が施設で暮らしている場合、実家の荷物をすべて見てもらうことは難しいかもしれません。その場合は、写真を撮って確認したり、特に思い入れがありそうな物だけを選んで相談したりするとよいでしょう。

また、処分する物と残す物を家族だけで決める場合でも、親の人生を否定するような言い方は避けたいところです。「もう使わないから捨てる」ではなく、「大切な物を選んで残す」「次に使ってくれる人に譲る」「家を安全に管理するために整理する」という考え方で進めると、気持ちの負担が少なくなります。

実家じまいは、親の人生を片付ける作業ではありません。親が築いてきた暮らしを尊重しながら、次の生活に向けて整理する作業です。

兄弟姉妹でトラブルを防ぐためのポイント

実家じまいは、兄弟姉妹間のトラブルが起きやすい場面でもあります。

よくあるのは、「片付けを一人に任せきりにする」「費用負担が不公平になる」「勝手に物を処分したと言われる」「売却方針で意見が分かれる」といったケースです。

これを防ぐためには、最初に役割分担を決めておくことが大切です。現地で片付けをする人、業者と連絡する人、費用を管理する人、親と話す人など、できるだけ具体的に分担しましょう。

また、重要な判断は記録を残しておくと安心です。家族LINEやメールで、片付け日程、処分する物、買取査定の結果、業者費用、売却方針などを共有しておくと、後から「聞いていない」というトラブルを防ぎやすくなります。

特に高価な物や思い出の品は、勝手に処分しないよう注意が必要です。貴金属、骨董品、着物、ブランド品、時計、アルバム、仏壇、神棚、遺影などは、家族で確認してから扱いを決めるとよいでしょう。

不用品処分と買取を上手に使い分ける

実家じまいでは、大量の不用品が出ます。しかし、すべてを処分業者に依頼すると費用が高くなることがあります。

まずは、売れる可能性がある物を確認しましょう。比較的新しい家電、状態の良い家具、ブランド品、貴金属、時計、カメラ、楽器、工具、骨董品、着物、趣味用品などは、買取対象になることがあります。

買取できる物を先に売却してから、残った物を処分する流れにすると、処分費用を抑えやすくなります。特に大型家具や家電は、買取できるか処分になるかで費用負担が大きく変わります。

ただし、古すぎる家電、傷みの強い家具、汚れた寝具、大量の日用品などは買取が難しいこともあります。その場合は、自治体の粗大ごみ、不用品回収、片付け業者を利用します。

大切なのは、最初からすべてを「ゴミ」として扱わないことです。価値のある物は次に使う人へつなぎ、処分が必要な物は適切に整理する。この順番で進めると、費用面でも気持ちの面でも負担が軽くなります。

遠方に住んでいる場合の進め方

親の実家が遠方にある場合、介護施設入所後の実家じまいはさらに大変です。

何度も現地へ行くのが難しい場合は、まず1回の帰省でやることを明確にしておきましょう。貴重品の回収、重要書類の確認、冷蔵庫や食品の処分、郵便物の整理、写真撮影、業者見積もりなど、優先順位を決めて動くことが重要です。

家全体の片付けを一度で終わらせようとすると、時間も体力も足りなくなります。初回は現状確認と重要物の回収、2回目以降に本格的な片付け、というように段階を分けると進めやすくなります。

また、遠方の場合は地元の買取業者、不用品回収業者、空き家管理サービス、不動産会社をうまく活用しましょう。写真やオンライン見積もりに対応している業者もあります。

信頼できる業者を選ぶためには、料金体系が明確か、見積もり内容が具体的か、買取と処分を分けて説明してくれるかを確認することが大切です。

介護費用と実家じまい費用を分けて考える

親が介護施設に入所すると、月々の施設費用が発生します。そのため、実家じまいの費用も含めて家計全体を考える必要があります。

実家じまいには、不用品処分費、清掃費、修繕費、空き家管理費、交通費、場合によっては解体費や不動産売却費用がかかります。家の広さや荷物の量によって費用は大きく変わるため、早めに見積もりを取っておくと安心です。

また、実家を売却する場合は、売却代金を介護費用に充てる選択肢もあります。ただし、親の財産である以上、使い道は慎重に考える必要があります。兄弟姉妹がいる場合は、介護費用、管理費用、売却後のお金の扱いについて事前に共有しておきましょう。

介護と実家じまいは、感情面だけでなくお金の問題も関わります。後回しにすると負担が大きくなるため、早めに全体像を把握することが大切です。

実家じまいは段階的に進めるのが現実的

親の介護施設入所と実家じまいは、同時期に考えることが多い問題ですが、一度にすべてを終わらせる必要はありません。

まずは入所に必要な物と重要書類を整理し、入所後は親の生活が安定するまで実家を管理します。その後、長期入所が見えてきた段階で、本格的な片付けや売却の検討に進むとよいでしょう。

実家じまいは、家族の負担が大きい作業です。親の気持ちに配慮しながら、兄弟姉妹で情報共有し、必要に応じて買取業者、不用品回収業者、空き家管理サービス、不動産会社などの専門家を活用することが大切です。

焦って進めると、親との関係や家族間のトラブルにつながることがあります。一方で、何も決めずに放置すると、空き家の劣化や管理費用の負担が増えていきます。

大切なのは、「すぐに処分する」か「ずっと残す」かの二択で考えないことです。親の状態、家族の事情、実家の状況に合わせて、無理のないタイミングで一歩ずつ進めていきましょう。

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